今日は秋晴れの爽やかな空が広がる日ですね。さっき近くのコンビニまで買い物に行ったんですが、気付けば半袖を着ているお客さんは私だけでした(笑)
今回は私どもが以前に所在調査をさせていただいたBさんの事例を書きたいと思います。みなさんにとって何かの参考になれば幸いです。
クライアントBさん 60代男性、40代の息子と息子家族と同居の6人暮らし。10年程前(依頼時点で失踪から10年以上経過)に当時40代の配偶者が突然仕事を辞め、連絡を絶ったまま行方がわからなくなったという事案でした。
警察に捜索願(行方不明者届)が出されていましたが、明確な手がかりが掴めず、進展が止まっていました。Bさんのご家族側としては「生きているなら何とか居どころを探し出してまた会いたい」という思いから、当事務所へ依頼するに至りました。
失踪時に本人は勤務先をきちんと退職しており、会社に行くふりをして自宅を出て、携帯電話や財布・キャッシュカードも残されたままで、現金は少額だけ持っていたと思われました。警察捜査では「明確な事件性・被害者性が確認できない」という理由で捜査の優先度が低く、手がかりの追加収集もなかなか進まない状況でした。
時間が10年以上経過しているため、当時の記憶・証言・関係者状況の変化、関係先の転居・当時配偶者を知っていた人たちの退職などで情報収集が困難な状況でした。
その時の当事務所による調査の流れと手法としては、Bさん及び家族から、配偶者を最後に確認できた日時や場所。金銭状況・人間関係・勤務先・趣味・通っていた地域など、過去の情報を可能な限り整理しました。Bさんの息子さんの奥さまが日記をつけられており、当時の内容も拝見させていただきました。
失踪直前の勤務先・取引先・友人・趣味のサークル・通院・地域活動など、過去に本人が所属・関係していた可能性のある機関・団体・地域を洗い直し。転居・転職・金銭関係・借金などを可能な限り洗いだし、本人が立ち寄る可能性のある生活圏・趣味圏(過去通っていた飲食店、喫茶店、地域の集まりなど)を中心に聞き込み。近隣住民・友人・昔の同僚などにも接触しました。10年以上経過しているため「昔の顔や当時の通称しか覚えていない」というケースもありましたが、何とか現在の所在につながる情報はないかと地道に聞き込みを行いました。
過去の本人の足取り(銀行・カード・公共料金支払い履歴など、取得可能な範囲で)を調査。SNS・スマートフォンなどの痕跡も可能な限り確認し、長期失踪のため別名義での職・居住地変更などがあると考えられたため「過去に使っていた住所や過去の勤務先」を元に現在の手がかりを探すことも試みました。
調査の結果、地方の別の町で住み込みで偽名を使って生活している可能性が浮上しました。聞き込みを続け、当該地域で「Cという名字+旧勤務先の同僚」がその人物を認識していたという証言を得て所在確認に至りました。
調査開始から数か月の後、配偶者が別居・別名義で生活していた地域が特定され、Bさんと家族と連絡を取り直す機会ができました。
Bさん家族と配偶者が再会した後、心理的整理が進むまでには双方時間を要しましたが、「ずっと探していてくれた」という家族の気持ちが配偶者にも届き、関係修復に向けみんな一丸となって取り組むこととなりました。
加えて実際に所在が確認されたことで、債務・年金・住民票・収入事情など、失踪期間中に未整理となっていた事務的手続を整理し直すきっかけとなりました。
本事例から読み取れるポイントとしては、長期化しても決して諦めてはいけないと言うことです。失踪から年月が経過していると「もう見つからないのでは…」と諦めがちですが、実際には再発見の事例も少なくありません。そして、情報の整理と再点検が必要だと思います。また、昔の情報がそのまま手がかりになることも多々ありますので当時の状況を丁寧に洗い直す必要があります。
くわえて警察捜査と探偵の所在調査の違いがあります。警察は事件性・被害者性が疑われる「特異行方不明者」の捜索を優先するため、事件性が薄い「自己意思による失踪」などでは捜査が低優先となることがあります。そのため、探偵に依頼することで、聞き込み・足跡調査・ネットワーク活用など、補完的な手法が可能となります。
今回のBさんは関係修復という方向で進みましたが、別の所在調査依頼では所在を確認できましたが再会には至らなかったというケースもあります。所在が判明しても本人に会う・話す・再会できるかどうかは別の問題です。生活を変えていたり、心理的・社会的な事情から本人が依頼者との接触を拒み、再び失踪してしまうケース等もありました。
そして、時間が経過すればするほど調査時間も費用もかかるため、契約時に「何をもって調査終了とするか」「追加料金の有無」「報告頻度」「情報の守秘義務」などを確認することが必要です。
対象者が死亡していた・事故に遭っていた・国外へ出ていたなど、状況が限定されていると成功率・調査難易度が高まり調査費用も多くなると考えられます。

