素人が陥りがちな誤解と、トラブルを避けるための対策
紛失防止タグ―いわゆる“忘れ物防止デバイス”は、鍵や財布に取り付けることで位置を把握できる便利なガジェットです。日本でも手軽に入手でき、スマホアプリと連携させるだけで使えるため、多くの人が日常的に活用しています。
ところが近年、この紛失防止タグを 「浮気調査のために使えないか?」 と考える人が増えています。しかし、これには非常に大きな落とし穴があり、下手をすると法律違反、関係破綻、さらには損害賠償に発展する可能性もあります。
以下では、「素人が紛失防止タグで浮気調査をしようとすると何が問題になるのか」「ではどう対策すべきか」を、できるだけわかりやすい言葉で解説していきます。
1. 紛失防止タグは“位置情報追跡目的”の道具ではない
紛失防止タグは、あくまで「自分の所有物を見つけるための道具」として設計されています。
しかし浮気を疑ったパートナーのカバンや車にこっそり入れて追跡しようとする人が後を絶ちません。
実はこれ、ほぼ確実に違法。日本では、所有者の同意がない状態で他者の行動を追跡することは
住居侵入罪・プライバシー侵害・ストーカー規制法に抵触する可能性が極めて高いとされます。
「ちょっと気になって…」
「証拠を集めたいだけ」
という理由でも免責されません。
2. 技術的にも浮気調査には向かない
① 製品側に“勝手な追跡防止機能”がある
AirTag の場合、持ち主以外の人が長時間持ち運ぶと
iPhone に“未知のAirTagが一緒に移動しています”と通知が来ます。
つまり、浮気調査で使っても必ず相手にバレます。
この機能により、浮気調査をしていた場合、調査対象者が通知を受け取ってしまい、追跡がばれるというリスクがあります。実際に、ある男性が妻の浮気を疑い、妻のバッグにAirTagを忍ばせたところ、妻が通知を受け取り、「何か変だ」と思ったことで調査が発覚。結局、夫婦間で激しい口論となり、信頼関係が大きく崩れる結果となりました。
② 位置情報の精度が高くない
紛失防止タグは本格的なGPS機器とは異なり、浮気調査には不向きです。紛失防止タグは、GPSによる正確な位置情報を提供するわけではなく、位置情報の精度が低い場合があります。特に、屋内や地下、建物の密閉空間では、正確な情報が得られないことも多く、調査が不完全になりがちです。GPS 特化のトラッカーと比べると誤差が大きく、決定的な証拠になるような情報は得られません。
③ バッテリー切れ・接続不良が多い
特に屋内や密閉空間では位置情報がまったく更新されず、「重大な瞬間に限ってデータが残っていない」という事態もよく起こります。ある事例では、妻が夫の車に紛失防止タグを隠し、夫の行動を追跡しようとしましたが、途中でバッテリーが切れ、肝心なタイミングで位置情報が更新されず、調査が失敗。その後、夫が不審に思ってバッグを調べたところ、紛失防止タグを発見し、浮気調査が発覚しました。
3. 素人が浮気調査に紛失防止タグを使う“3つの致命的リスク”
① 法的トラブル(慰謝料請求の逆襲)
追跡に気付いたパートナーから
損害賠償
刑事告訴
弁護士経由での警告書
などを受けるケースがあります。
浮気を疑っていたはずが、自分が加害者として扱われる逆転状況も珍しくありません。
② 関係崩壊
不倫の有無に関わらず、追跡行為が明るみになると
信頼は一瞬で失われます。
家庭内別居や離婚問題に発展することも多いです。
③ 証拠として使えない
紛失防止タグで得た位置情報は、裁判で証拠として認められない可能性がほとんどです。
4. 浮気調査は“プロに任せる”のが最も安全
「自分で何とかしたい」という気持ちは理解できますが、浮気調査は専門知識がないと高い確率でトラブルになります。
プロの探偵なら
法律に抵触しない範囲での調査
裁判で使える証拠の収集
相手に気付かれない技術
を備えています。
費用はかかりますが、素人が違法リスクを背負うよりはるかに合理的です。
5. 自分でできる“合法的な”確認方法
違法行為を避けながら、できる範囲で状況を整理する方法もあります。
① 会話・行動の変化を記録する
帰宅時間の急な変化
スマホを肌身離さなくなった
など、客観的なメモを残すだけでも後の証拠になり得ます。
② 家計の支出を見直す
クレジット明細や家計簿は重要なヒントになります。
③ 自分自身のメンタルケア
不安が大きいと判断を誤りがちです。
信頼できる友人や専門の相談窓口を利用しましょう。
■ まとめ:紛失防止タグは“浮気調査に使ってはいけない”
便利に見える紛失防止タグですが、浮気調査目的で利用すると違法行為になる可能性、相手に確実にバレる設計、証拠として使えない、逆に自分が訴えられるリスクなど、デメリットが圧倒的に大きいのが現実です。
浮気が疑わしいと感じたときこそ、冷静に・合法的に・安全に行動することが何より大切です。

